「妨害」
何度も地下鉄駅の構内で演奏していると、いろいろな妨害にあう。
まあ、こっちも勝手にやっているんだから、あたりまえだけどね。
やはり、何といっても多いのは、プラットホームにいる乗客からの、「止めてくれ」というやつ。
以前にも書いるれど、アメリカでは、結構、反応がストレートに来る。
「止めてくれ」もしくはそういう意味の苦情をすぐに声にして言ってくる、もしくは怒鳴り声をあげる。
でも、逆に、少ないけれど、「良かった」というふうに声をかけてくる人もいる。
とにかくすぐ声になって返ってくる。
警官からの妨害は、「2ndAvenue」という駅でだけある。
この駅は、何故だか、いつもいつも警官がいる。何か事件でもあったのかなあ?
いつもいるので、演奏の音がすぐに警官の耳に届いてしまうらしい。
ただ、ご存知のように、こちらでは、人によって対応が全然違う。
演奏を聞いたとたんに、「止めろ」という警官もいれば、
全然気にせずに、見ているだけの警官も、少しだけれど、いる。
他の駅では演奏中には警官に会ったことがない。
駅員からの妨害もある。これは「36street」という閑散とした駅でだけある。
この駅だけは、駅員(といっても切符売り場の一人だけ)のいる所がプラットホームと同じフロアーにある。
つまり、駅員が、演奏の音と、俺の存在を結びつけることの出来る唯一の駅なのです。
この駅で演奏していると、たまに、構内放送のスピーカーからへんてこりんなノイズとか、
一回だけだけれど、ビートルズの曲とかが流れてきたこともあった。
実は、これもご存知かもしれないけれど、NYの地下鉄駅の構内放送の設備は、
殆ど雑音しか出ないようになっています。全く使い物にならない設備なのです。
最近の電車はりっぱなスピーカーをもっているので、構内放送の代わりに、電車が放送しています。
ということで、最近は、他の駅でも、構内放送なんて聞いたことないのです。
ところが、この使いものにならない構内放送も、スイッチを入れればそれだけで、演奏の妨害が出来るのです。
殆ど乗客のいない駅で、しかも俺が演奏しているときに限って、構内放送が流れてくる。
これって、駅員のいやがらせだよね。
当然だけど、これも駅員によって対応が違う。いやがらせをするのは特定の駅員だけらしい。
困る(というか、危ないのかな?)のは、酔っ払いに絡まれること。地下鉄でもう数年やっているけれど、
一回だけ経験した。
ある時、殆ど誰もいない駅で演奏していて、最初は遠くのほうで、誰かが、何かぶつぶつ言っているなあ、
と思っていると、その声がだんだん近づいてくる。何か文句を言いながら近づいてくる感じ。
まずいかな、と演奏を止めたけれど、やはり、すぐ近くまで来て、文句を言っている。
何とか、いったんは気勢をそらしたけれど、まだ、近くでうろうろして、いちゃもんをつけてきそうな雰囲気。
近くには、全く誰もいないし、やっぱり、まずい、ということで、そそくさと楽器を片付けて、駅の改札を出てしまった。
この駅は、すごく閑散とした駅で、その上、深夜には中央の線路に回送車が止まっていて、
見通しが悪くなる。やはり、まわりの状況をきちんと考えないといけませんね。
見通しが良いところを選ぶとか、逃げ道は二つ以上確保しなさいとか、
火事に備えて非常口を確認しなさい、みたいな話だね。